箱庭文学

圧倒的駄文! 何気ない日常のこと、お仕事のこと、思い出話、与太話、妄想・空想など。

嘘つきな上司と、私と、桜と

さくら

毎年恒例の会社のお花見に参加した。

私の会社は、部署ごとにお花見をするのが慣習化されている。部署ごとでもなかなかの大所帯なので、遠足感覚で結構楽しい。

 


お花見の日はちょっとばかし早めに仕事を切り上げ、新入社員が場所取りしているところへ向かう。

桜舞い散る様は熱烈に「刹那」を印象づけるから、容易に「非日常」が五感によって展開される。

すべてにおいて幻覚的な風景と冷えたビールが私の神経と感覚をとろけさせる。そこに春風が綯い交じり、際限なく気持ちいい。

気忙しい日常の連続の中に、かくも自若たる時が訪れてくれるのは救いだ。



ほろ酔いで良い感じになった年配の上司が新人たちに語り始めた。

「最近めっちゃ忙しくてな、寝る時間ないねん。もうちょい暇欲しいわ~」

その上司の言葉は私を煽動し、意識は5年前に巻き戻る。

5年前、東日本大震災が起きた際にこの上司は、「仕事があるだけでありがたい。与えられた仕事を誠心誠意やっていこうで!」と部下たちを鼓舞していた。


Tomorrow never knows』の中で、ミスチルの桜井さんは唄う。

「人は悲しいぐらい忘れてゆく生きもの 愛される喜びも寂しい過去も」


5年前の仕事への真摯な想いはおそらく真実だし、一方で現状の多忙さに嫌気を感じているのもまた真実だろう。どちらも嘘じゃない。

時間の経過の中で起こった「上司の記憶の忘却」と「私の記憶の継続」が重なったことで、「嘘つき上司」が作り上げられた。

時の流れが上司を嘘つきに仕立てあげただけのこと。よくある話。別に大したことじゃない。


頭で「よっ!嘘つき上司!」的なことを考えながら、口では「マジうまいね、これ♪」と言いながらお花見弁当を食べる私。

上司のことは言えない。頭と口が一致していない私もまた、同じ嘘つきに違いないのだから。そう、本当に大したことじゃないのだ。



お酒を煽り、空を見た。

空に穢れの跡はなく、桜の端麗さにはわずか一点の陰りも存しない。

押し広がる空。散り広がる桜。

移ろいゆく青碧の宙。変わらぬ淡紅色の花びら。

それらはどこまでも縷々として美しく、そしてその美しさに嘘はなかった。



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