箱庭文学

圧倒的駄文! 何気ない日常のこと、お仕事のこと、思い出話、与太話、妄想・空想など。

私の右手を振りほどき元気よく走り出した小さな向日葵

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一時の狂乱を、暑い夏に置き去った海がある。


静けさを深々と着込んだその海は、呼吸するがごとく絶えず波を起こしている。

馬鹿騒ぎした日々が逝って、 潮騒が際立つ世界が口を開けていた。

寄せては返す波と遊ぶ人々の数は、もうすっかり秋のそれ。

しかしその様には、確かに夏の名残りが垣間見える。



その「夏の残り香」を眺めていると、姪っ子が私の手をぐっと強く引いてきた。


「あんまり遠くに行っちゃダメだよ」

「まだとっても暑いから帽子はぬいじゃダメ」

「石がたくさんあるからサンダルもダメだよ」

「もちろん知らない人についてっちゃダメ」


私の注意事項をふたつ返事で聞きながす姪っ子の姿は、私の小さい頃とほんとによく似ていて、時々怖くなる。

「やりたいこと」が目の前にあると、周りの声は遠退き、儚さと美しさをまとった一瞬の寂が連なりながら、至極純粋な「熱誠」や「欲望」が沸き立ち始める。

そして私は、「やりたいこと」に深く深く埋没してゆく。

だからきっと姪っ子も――。



私の右手を振りほどき元気よく走り出した小さな向日葵は、瞬く間に波と戯れるまばらな人々と同化した。


トンボが遊ぶ浜辺で走り回るその姿を見ながら、私は思った。

彼女の持つ猪突猛進さ、純朴さを、少しだけでも分けて欲しい、と。


ああ、間違えた。

忘れかけているそれらを、雑多な社会から奪い返そう。



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